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《第19回》【Uターン・Iターン起業の実態】初期投資500万未満・従業員1人が主流。経験者のデータで見えた、低リスクな「稼げる地方ビジネス」のリアル
組織を離れて、地方で自由に稼ぐ。経験者が語るローカルビジネスの鉄則は「重い固定費・大量在庫」を持たないこと
株式会社ハッピーカーズ(本社所在地:神奈川県鎌倉市、代表取締役:新佛 千治)は、都市部からUターン・Iターンして①現在地方で起業・独立している経営者・個人事業主②地方で起業・独立したことがある経営者・個人事業主③地方で起業・独立を検討している、または興味がある方を対象に、「Uターン・Iターン起業・独立のリアル」に関する調査を実施しました。
近年、働き方の多様化によるUターンやIターンといった地方移住、そして「雇われない生き方」としての地方起業・独立が注目を集めています。
しかし、実際に地方でビジネスを始めるとなると、「本当に稼げるのか?」といった不安がつきまとうこともあるでしょう。
そこで今回、車買取り専門店の株式会社ハッピーカーズ(https://happycars.jp/)は、都市部からUターン・Iターンして①現在地方で起業・独立している経営者・個人事業主②地方で起業・独立したことがある経営者・個人事業主③地方で起業・独立を検討している、または興味がある方を対象に、「Uターン・Iターン起業・独立のリアル」に関する調査を実施しました。
調査概要:「Uターン・Iターン起業・独立のリアル」に関する調査
【調査期間】2026年2月13日(金)~2026年2月16日(月)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,002人(①566人/②186人/③250人)
【調査対象】調査回答時にUターン・Iターンして①現在地方で起業・独立している経営者・個人事業主/②地方で起業・独立したことがある/③地方で起業・独立を検討している、または興味があると回答したモニター
【調査元】株式会社ハッピーカーズ(https://happycars.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
製造・サービス業からの転身が多数。「稼げる」勝算を持って挑む、地方起業のリアル

はじめに、「都市部で従事していた(従事している)主な業種」について尋ねたところ、『製造業(17.6%)』と回答した方が最も多く、『その他サービス業(15.3%)』『卸売業・小売業(10.8%)』と続きました。
上位が『製造業』『その他サービス業』『卸売業・小売業』となり、製造業における工程管理や業務改善のノウハウ、サービス・小売業における対人折衝力といった、現場で培われた「実務能力」が、地方ビジネスの運営においても大きな武器になる可能性があります。
こうした「現場力」を持つ人材こそが、現在のUターン・Iターン起業を支える主力層となっているようです。
では、実際に地方で起業する際はどのような業種が選ばれているのでしょうか。
「地方で起業・独立した主な業種(検討している主な業種)」について尋ねたところ、『その他サービス業(16.8%)』と回答した方が最も多く、『卸売業・小売業(13.4%)』『製造業(12.9%)』と続きました。
『その他サービス業』や『卸売業・小売業』が上位に入った背景には、地域住民の生活に不可欠な需要が安定して存在することが挙げられます。
これらは比較的スモールスタートしやすく、地方起業における「堅実な選択肢」として支持されています。
また『製造業』も上位に挙がっており、ものづくりや生産活動に取り組む事業者も根強く存在します。
地域内消費をターゲットにしたサービス業・小売業と、拠点を活かした製造業という、大きく2つの方向性が地方起業の受け皿となっているようです。
地方移住や独立は大きな決断ですが、どのような動機がその背中を押したのでしょうか。

「都市部からUターン・Iターンして、地方で起業・独立しようと思ったきっかけ」について尋ねたところ、『自分のスキルや経験なら、地方でも十分に稼げると思った(25.1%)』と回答した方が最も多く、『組織に依存せず、自分の力で生きていきたいと思った(23.2%)』『早期退職や定年退職を機に、第二の人生を考えた(18.6%)』と続きました。
「地方でも稼げる」という自信や勝算を持って起業を決断した人が最多となりました。
これは、Uターン・Iターン起業が単なる「スローライフへの憧れ」だけではなく、自身のキャリアやスキルを活かした「ビジネス戦略」として選択されていることを示しています。
また、「組織からの自立」や「第二の人生」といった回答も上位に並んでおり、ライフステージの変化や自身の生き方を見つめ直すタイミングが、地方での独立を後押しする直接的なトリガーとなっていることが浮き彫りになりました。
初期投資は「500万円未満」が7割。組織を拡大せず利益を生む「スモールスタート」の極意
では、実際に地方で起業した際、どの程度の規模感で事業を始めているのでしょうか。
現在地方で起業・独立している経営者・個人事業主、地方で起業・独立したことがある方に、「あなたが地方で起業・独立した事業の従業員数」について尋ねたところ、『1名(自分ひとりのみ)(34.0%)』と回答した方が最も多く、『2〜5名(26.9%)』『6〜10名(16.8%)』と続きました。
『1名』と『2~5名』の回答を合わせると約6割が5名以下の少人数体制で事業を運営しています。
『6~10名』の組織を持つ事業者も約2割存在しますが、全体としては、固定費の中でも大きなウェイトを占める人件費を抑え、まずは身軽な少人数チームでスモールスタートを切る手法が主流であると推測されます。
では、事業開始にあたり、設備や店舗などにどの程度の資金を投じたのでしょうか。

「地方で起業・独立する際、初期投資(設備・店舗・在庫など)にかけた総額」について尋ねたところ、『100万円未満(27.4%)』と回答した方が最も多く、『100万円〜300万円未満(19.8%)』『300万円〜500万円未満(21.3%)』と続きました。
全体の約7割が「500万円未満」での開業を選択しており、初期投資を抑えたスモールスタートが主流となっている実態が明らかになりました。
地方での起業においては、大規模な設備投資を行うよりも、自己資金や無理のない融資範囲内で始められる「低コスト創業」が選ばれる傾向にあります。
過度なリスクを負わず、身の丈に合った規模感で事業を開始することが、地方ビジネスにおける一つの成功パターンとして定着しているようです。
しかし、事業を始めてみると、計画段階では見えていなかった「想定外の壁」に直面することもあるのでしょうか。
「実際に地方で起業・独立してみて、想像以上に大変だったこと」について尋ねたところ、『販路開拓・顧客獲得(31.0%)』と回答した方が最も多く、『資金調達・資金繰り(29.7%)』『行政手続きや法規制の理解・対応(18.2%)』と続きました。
ビジネスの継続に直結する「集客」と「資金」が最大の障壁であることは明白ですが、見逃せないのは約2割が「行政手続き」に苦労している点です。
地方での独立においては、売上を作るための攻めの活動だけでなく、煩雑な申請業務といった実務作業も、想像以上の負担となるようです。
では、地方起業後の経営状態は1年でどのように変化するのでしょうか。

「起業・独立してから1年後、会社の規模(従業員数・売上)はそれぞれどのように変化したか※1年未満の方は現時点での変化」について尋ねたところ、下記のような結果になりました。
・従業員数
『増えた(25.0%)』
『変わらない(69.8%)』
『減った(5.2%)』
・売上
『増えた(41.9%)』
『変わらない(47.6%)』
『減った(10.5%)』
1年経過時点で売上が「減った」とする回答は約1割に留まり、約9割が売上を維持または増加させているという結果は、地方起業の持続可能性の高さを示唆しています。
スモールスタートで固定費を抑えている事業者が多い分、損益分岐点が低く、多少の売上変動があっても事業を継続しやすい体質になっている可能性が考えられます。
従業員数においては、約7割が「変わらない」と回答しており、売上を伸ばしつつも安易に組織を拡大せず、少人数のまま利益を確保する堅実な経営スタイルをとっている事業者が多い傾向が見られました。
最大のメリットは「事業コストの安さ」。先輩起業家が警告する「固定費」と「在庫」のリスク
ここからは、現在地方での起業を検討している方が何に不安を抱いているのかうかがいます。
「地方での起業・独立について、どのようなことに不安を感じるか」について尋ねたところ、『安定した収入が得られるか(生活していけるか)(56.4%)』と回答した方が最も多く、『失敗した際のリスク(借金や再就職の難しさ)(36.4%)』『事業を継続できるか(将来性)(32.8%)』と続きました。
地方での起業を検討している方にとって最大の懸念は、「生活していけるか」という経済的な安定性にあるようです。
約6割が収入面での不安を抱えており、「失敗時のリスク」「将来性」が挙げられたことからも、まずは「生活基盤をどう守るか」「もしダメだったらどうするか」という現実的な生存リスクに意識が向いていることがわかります。
地方での独立を検討する上では、事業そのものの成功確率はもとより、自身の生活を破綻させないための安全網をどう確保するかが、最初にして最大のハードルとなっているようです。
では、地方でビジネスを続ける魅力はどこにあるのでしょうか。

現在地方で起業・独立している経営者・個人事業主、地方で起業・独立したことがある方に、「地方で起業・独立をして良かった点」について尋ねたところ、『事業運営コストが低い(家賃・人件費など)(33.5%)』と回答した方が最も多く、『生活コストが低く、ストレスの少ない生活を送れる(29.0%)』『ワークライフバランスが取りやすい(24.6%)』と続きました。
「生活コスト」や「ワークライフバランス」といった個人的な生活の質(QOL)に関する項目を抑え、「事業運営コストの低さ」が1位となりました。
家賃や人件費などを低く抑えられることが、地方起業において最も直接的かつ強力なメリットとして機能していることを示しています。
利益を確保しやすく、損益分岐点を下げられるという経営上の優位性が、結果として精神的な余裕や生活の質の向上にもつながっていると考えられます。
最後に、経験者が語る「失敗しないための教訓」を聞きました。
「これから地方での起業・独立を検討している人に、“これだけは気をつけるべき”とアドバイスしたいこと」について尋ねたところ、『いきなり高額な初期投資(設備・店舗・在庫など)をする(38.8%)』と回答した方が最も多く、『最初から家賃や人件費などの「固定費」を高く設定する(35.1%)』『大量の在庫を抱えるビジネスモデルを選ぶ(27.1%)』と続きました。
経験者が最も警鐘を鳴らしているのは、「初期投資」「固定費」「在庫」という3つの金銭的リスクでした。
上位3項目がいずれもコスト構造に関わる内容で占められており、地方という商圏規模が限定的な市場においては、重いコスト負担が致命傷になりかねないという現実を突きつけています。
まずは身の丈に合った規模で始め、固定費や在庫を持たない「身軽な経営体質」を作ることが、地方起業で生き残るための鉄則といえそうです。
まとめ:「身軽な経営」こそが地方起業の最強の生存戦略
今回の調査から、Uターン・Iターン起業のリアルな実態が明らかになりました。
移住前の職業については「製造業」が最も多く、起業後の業種としては「サービス業」や「小売業」が多く選ばれており、前職のスキルを活かしつつ地域需要のある分野へ転身する傾向が見られました。
また、起業のきっかけとしては、「地方でも稼げる」という勝算を持って決断した人が最多でした。
実際の起業スタイルを見ると、従業員数は「5名以下」の少人数体制が約6割を占め、初期投資額も「500万円未満」が約7割と、スモールスタートが主流であることが分かりました。
開業後は「集客」や「資金」に加え、「行政手続き」などの実務面に苦労する傾向がありますが、1年後には約9割が売上を維持・拡大させています。
地方移住・起業検討をしている方は「収入」や「失敗リスク」に不安を抱いていますが、経験者は「事業運営コストの低さ」を最大のメリットとして挙げており、経営面での恩恵を実感しています。
最後に、経験者からのアドバイスでは、「高額な初期投資」「高い固定費」「大量在庫」を避けるべきという声が上位を独占しました。
地方起業の成功には、身の丈に合ったサイズで始め、リスクを極限まで抑えた経営を徹底することが何より重要といえるでしょう。