《第14回》初任給は上げたけど…既存社員はそのまま?給与対応に“世代差”くっきり 経営者7割が「自社の給与水準は高い」と回答

広がる賃上げの波。企業は売上・利益の確保とコスト高の板挟みに

株式会社ハッピーカーズ(本社所在地:神奈川県鎌倉市、代表取締役:新佛 千治)は、中小企業経営者を対象に「中小企業の初任給と給与水準の変化」に関する調査を実施しました。

物価高や人材獲得競争が激化するなか、企業には「賃上げ」への対応が強く求められています。

しかし、限られた経営資源の中で継続的な賃上げを実現するのは決して簡単ではありません。

では、実際に経営の舵取りを担う中小企業の経営者たちは、自社の給与水準や賃上げの必要性について、どのように感じているのでしょうか。

そこで今回、車買取り専門店の株式会社ハッピーカーズhttps://happycars.jp/)は、中小企業経営者を対象に「中小企業の初任給と給与水準の変化」に関する調査を実施しました。

調査概要:「中小企業の初任給と給与水準の変化」に関する調査

【調査期間】2025年4月16日(水)~2025年4月17日(木)

【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査

【調査人数】1,005人

【調査対象】調査回答時に新卒の採用を行っている中小企業経営者と回答したモニター

【調査元】株式会社ハッピーカーズ(https://happycars.jp/

【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

過去3年で初任給の引き上げを行った中小企業は7割超

はじめに、「過去3年間で新卒の初任給の引き上げ実施状況」について質問したところ、7割以上が『引き上げた(75.4%)』と回答しました。

実に4社に3社が初任給を引き上げており、賃上げの動きは大企業にとどまらず社会全体に広く波及していることがわかります。

一方で『変更なし』とした企業は2割未満、『引き下げた』とする企業も1割に満たない点から、現状維持や減額は例外的な対応であるようです。

次に、実際に行われた初任給引き上げの規模についてうかがいました。

「新卒の初任給の引き上げ率」について尋ねたところ、『3%以上〜5%未満(38.7%)』が最多で、『5%以上〜10%未満(32.5%)』と続きました。

約7割が「3%〜10%未満」の範囲で引き上げており、現実的かつ段階的な引き上げが主流であることがわかります。

では、なぜ新卒の初任給の引き上げを実施したのでしょうか?

「初任給を引き上げた理由」について質問したところ、『採用競争力を高めるため(62.9%)』が最多で、『インフレ・物価上昇への対応(46.4%)』『競合企業の給与水準に合わせたため(41.4%)』などが上位にあがりました。

上位3つに関しては、若年層人材の確保と職場への定着に対する強い危機感があると考えられます。

早期離職が増加する中で、待遇への満足度は、その後の定着やエンゲージメントにも直結します。

初任給の引き上げは単なる採用対策ではなく、若手人材の確保と離職率を下げる手段としての意味合いも強まっているのかもしれません。

新卒初任給引き上げラッシュの中、既存従業員の給与の変化は…?

では、既存従業員の給与について、中小企業はどのように対応しているのでしょうか?

「過去3年間における、定期昇給や制度的な昇給ではない、既存従業員への給与(基本給)対応」について質問したところ、『一部の社員に対して引き上げを行った(25.2%)』『全社員一律で引き上げを行った(53.0%)』となりました。

半数を超える企業が、全社員に対する一律昇給を実施しており、インフレへの対応や待遇改善としての位置づけがうかがえます。

一部の社員のみ引き上げた企業も2割以上いるようですが、どの社員に対して引き上げを行ったのでしょうか?

「給与の引き上げを行った従業員の属性」について尋ねたところ、『若手社員(46.3%)』が最多で、『中堅社員(29.6%)』『管理職(12.3%)』となりました。

中堅社員より若手社員の給与を引き上げている企業が多いようです。

将来的な人材育成の必要性や定着率向上といった企業が抱える課題が浮き彫りとなっています。

では、どの程度給与の引き上げを行ったでしょうか。

「一部の社員」と「全社員一律」で給与を引き上げたと回答した方に、「該当社員への給与引き上げ率」について質問したところ、『10%未満(45.9%)』が最多で、『10%以上〜20%未満(29.8%)』となりました。

約半数が「10%未満」とする中、「10%以上」引き上げた企業も半数あり、中小企業が積極的に給与を引き上げている様子がうかがえます。

さまざまなコストがあがっている現状で、給与の引き上げは企業にとって負担増になりますが、それでも賃上げを進めるべき必要性に迫られているといえるでしょう。

では実際に、企業はどのような目的や背景で既存従業員の給与引き上げを実施しているのでしょうか。

「既存従業員の給与を引き上げた理由」について質問したところ、『モチベーション向上のため(55.6%)』が最も多く、その他『インフレ・物価上昇に対応(41.9%)』『初任給を引き上げたため(34.1%)』が上位にあがりました。

企業にとって即効性のあるエンゲージメント施策として、給与アップによる社員のモチベーション向上が位置づけられていると考えられます。

また、物価高騰や初任給引き上げによる社内不均衡を避けるための対応など、さまざまな背景があることがわかりました。

経営者が明かす“賃上げの壁”と課題とは

中小企業の賃上げの実態が明らかになりましたが、同業界における自社の給与水準やこれからの賃上げについてはどのように考えているのでしょうか。

「業界内での自社の給与水準」について尋ねたところ、以下の回答結果となりました。

■同業他社と比較した際、現在の自社の給与水準はどのように感じていますか?

『とても高い方だと思う(14.0%)』

『やや高い方だと思う(55.3%)』

『やや低い方だと思う(26.9%)』

『とても低い方だと思う(3.8%)』

自社の給与水準に一定の自信を持っている経営者がやや多いようです。

しかしその一方で、世間一般では「給与が上がらない」「生活に見合っていない」といった従業員側の不満が依然として根強く存在しており、以前実施した働き盛り世代への調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000126517.html)では、約6割の方が現在の給与に満足していないと回答しています。

経営者と、現場で働く従業員との間に、給与に対する認識や評価にズレが生じている様子がうかがえます。

では、今後さらに賃上げが加速する場合、会社として何が必要だと思うのでしょうか。

「今後、賃上げが続く場合に必要なこと」を質問したところ、『売上・利益の拡大(59.4%)』が最多で、『労働生産性の向上(43.9%)』『業務のDX化(27.7%)』などが上位にあがりました。

持続的な賃上げを実現するためには、経営基盤の強化が不可欠という共通認識があることがわかりましたが、中小企業にとって賃上げにはどのような課題があるのでしょうか。

「賃上げを進める上で、最も大きなハードルとなっている要因」について質問したところ、『原材料・仕入コストの上昇(29.0%)』『人件費比率の高さ(20.6%)』『利益率の低さ(19.8%)』という声が多く集まりました。

人件費を含むコストの増加が最大の懸念であるようですが、その他にも利益が低いことなど多面的な課題が浮き彫りとなりました。

中小企業にとっては、賃上げが経営全体のバランスに直結する難題であることがうかがえます。

継続的な賃上げへの意欲があっても、財務的な制約が足かせとなっている企業も多いといえるでしょう。

まとめ:中小企業の賃上げ、その先に問われる“企業と個人の選択”とは

今回の調査の結果から、中小企業における賃上げの実態が明らかになりました。

中小企業においても賃上げの動きが着実に進んでおり、とくに新卒初任給の引き上げに関しては、実に7割超の企業が過去3年間で実施済みであることが明らかになりました。

その背景には、人手不足による採用競争力の強化や物価高騰への対応といった現在の社会情勢が強く影響しているようです。

また、新卒社員にとどまらず、既存社員の給与水準も引き上げる企業が多く、全社員一律での引き上げを行った企業が半数を超える結果となりました。

中でも若手社員への処遇改善が目立ち、今後の成長を支える人材への投資意識が高まっていることがわかります。

給与引き上げの目的として最も多かったのは「モチベーション向上」で、賃上げを通じて社員のやる気や帰属意識を高めたいという経営側の意図が強く反映されていました。

一方で、持続的な賃上げを実現していく上では課題も多く、経営者の多くが「売上・利益の拡大」や「生産性向上」を今後の条件としてあげていました。

とくに原材料や人件費といった複合的なコスト圧力は、賃上げを阻む大きな壁としてあるようで、意欲だけではどうにもならない現実的な課題が浮き彫りとなりました。

賃上げの動きが社会全体で広がっていても、すべての企業が十分な余力を持って対応できるわけではなく、中小企業ほど多くのハードルを抱えているのが現実です。

そうした中で、働く個人としても賃上げに期待するだけではなく、副業や独立といった収入の選択肢を持つことも、これからの時代には必要になってくるのかもしれません。

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